山田勇男1月16日3 分『放浪と懐郷』自説生きている心 死んでいる心 それを どうして聴きわけよう はばたく気配や 深い沈黙 ひびかぬ暗さを 『生きているもの・死んでいるもの』茨木のり子 実は私の今の齢が亡くなった父の齢で、昨年の夏くらいから何となく自選集のDVDを出したいと思い巡らしていた。...
山田勇男2021年12月25日2 分『イメージの織物』始末記ナンシーの旧市街の古本屋でアルザスの写真集(1972)をみつけた。 色灼けしたモノクロで、パラパラめくってみると、いつか見たことがあるような懐かしい光景がいくつもあった。気になりながらも、すぐには求めず、思い巡らせていた。いいなと思いながらもためらい、やっと決心していくと、...
山田勇男2021年4月14日3 分シルクハット全てが、もう終わりかな?と思い巡らしているときは、 すべからく心許ない心境になっている。 ただその時だけの慰めのように、すぐさま淋しさに変わる。 世阿弥の「この世は夢よ只狂へ」とは、何と的を得た言葉だろう。 何気に歩いていたナンシーの街角に、閉店セールの帽子店があった。...
山田勇男2020年5月30日2 分惑いの季節誰しも美しい十代には一度、アルチュール・ランボオの詩に出会うことになる、と思ったもの。 でも、初めて買った書物は、ドストイエフスキイの『罪と罰』だった。 すぐにそのあと、ハイネやバイロンの恋愛詩に少年期の私は酔いしれた。...
山田勇男2020年4月4日2 分青の憂鬱なつかしき 地球はいづこ いまははや ふせど仰げどあかりもわかず (賢治) 実は4月3日から18日迄、ストックホルムでマリア・ホルマー・ダールグレンさんと、タイポグラフィの二人展【文字の二重奏】を開催することになっていた。デザイナーのマリアさんの作品は多く商品化され、スーベ...
山田勇男2019年9月9日3 分Festival international du film de Nancy★ 第25回ナンシー国際映画祭2019年8月30日〜9月8日 www. fifnl.com FB:festival.international.film.nancy ナンシー国際映画祭に審査員として参加。 審査対象の映画五十本以上は既に2000作品以上から選び抜かれた力作ばかり。...
小林俊哉・山田勇男2019年1月13日4 分2019年2月1日〜21日★ NORTHERN IMPRESSION展覧会に寄せて【小林俊哉 X山田勇男】小林俊哉【明けない夜】2/1-2/10 取り返しのつかないことを取り返すために。 『雨の散歩』 「森のなかの散策で ぼくは傘を広げたい すべての木をぼくの傘の下に ・・・木が濡れないように。 ユルゲン・ボルター」 この詩は私が福島原子力発電所の爆発事故後、初めての雨の日に...
山田勇男2017年12月24日1 分「ヤマヴィカ映画史28」(写真:「ヤマヴィカ映画史2017」手書原稿表紙) くり返すが、フィルム映画を初めて撮ったリュミエール兄弟のリヨンの町を訪ね、 8ミリカメラに収めたフィルムスケッチが、 カメラの故障でつまづき、 真っ暗なローヌ川畔のベンチに腰掛ける。...
山田勇男2017年12月16日1 分ヤマヴィカ映画史27(写真:『夢のフィールド』(1990)より 右から湊谷夢吉、山崎幹夫、正木基、著者 『巻貝の扇』撮影風景) 今年のストックホルムの個展では、公開制作のようなことはしなかった。 モチーフになっている写真集『Les Illuminations cinémathèque』の、...
山田勇男2017年12月2日2 分ヤマヴィカ映画史26(写真:コラージュ2017の部分図版) 今年になって、ぼーッとしてはおられない性分のせいか、 これまでのスクラップを眺めつつ、 古本屋で見つけた5ユーロのなんとお徳なボロボロの 1957年発行のDAS GAB’S NUR EINMAL(『ただ一度きり』)という...
山田勇男2017年11月17日2 分ヤマヴィカ映画史25(写真:ヤマヴィカフィルム謹製スタンプを押す筆者) 今回の展覧会は、絵葉書とポスターで構成している。 絵葉書は、昔のモノクロ写真の手彩色よりも (メリエスの映画『月世界旅行』(1902)のひとコマひとコマの色付けしたフィルムを思い出す)、...
山田勇男2017年11月11日2 分ヤマヴィカ映画史24(写真:撮影風景・遠藤彰と筆者・2016年パリ) 丁度、「写真集のような映画を撮ろう」と思った頃、写真家の遠藤彰と知り合った。 彼の写真を見せてもらうと、随分と好みの写真を撮っていて嬉しくなった。 彼は、写真を撮り続けていると映像にも興味が出てきたというので、...
山田勇男2017年10月24日2 分ヤマヴィカ映画史23(写真:スットックホルムでのLes Illuminations展ウィンドウに並ぶ写真集) ★ さて、今、不器用な「私」の頭のなかには、 映画『イリュミナシオン』のことしかない。 以前、「私」の漫画集『戯れ』(北冬書房)の刊行にあわせて、 収録作品それぞれのポスターを作り、...
山田勇男2017年10月23日1 分ヤマヴィカ映画史22(写真:シャルルヴィルのランボオの家にて) ★ 全体的な構造はたてているものの、 撮影の上がったフィルムを前に、撮る前との差異がつきまとう。 思うこと、考え方も変わっていく。 実践にともなう苦悩がいつも作品の種子となる。 この映画は、プライベートな域を越えない、...
山田勇男2017年10月17日2 分ヤマヴィカ映画史21(写真:セーヌ川沿い撮影風景) ★ 2016年5月。 遠藤彰に電話をした。 このプライベートフィルムに、 もうひとりの他者を介入させることで、「私」を客体化させたいと思った。 新聞社に勤めている彼に、一週間の休みなどとれるのだろうか。 考えても仕方ない。...
山田勇男2017年10月10日1 分ヤマヴィカ映画史20(写真:シャルルヴィル夜景(2015年12月)) ★ 2015年12月24日。 思い立って、バスと電車を乗り継ぎ、ムーズ川河畔の町、 ランボオの故郷シャルルヴィルを訪ねた。 地図では随分と近くなのに、交通手段が少ない。 ルクセンブルクの駅から中型タクシーのようなバスに乗った...
山田勇男2017年10月9日2 分ヤマヴィカ映画史19(写真:ラ・カメラ上映会ちらし『La あんよ』(1994年10月)) ★ 1992年11月。 さて、『アンモナイトのささやきを聞いた』(1992)のポストプロダクションで、 東京に住み、仕上げて間もないころだった。 島本慶が友人と作った乃木坂の「ラ・カメラ」で自主上映をする...
山田勇男2017年10月8日2 分ヤマヴィカ映画史18(写真:ジャン・コクトー『詩人の血』(1932)より) ★ 自主上映を観ていくと、映画館で普段なかなか上映されないものや、 絶対上映されにくい(されない、と言ったほうがいいか) いろいろな映画に出会った。 ダリとブニエルの『アンダルシアの犬』、 マヤ・デレン『午後の編目』、...
山田勇男2017年10月3日1 分ヤマヴィカ映画史17(写真:リヨンのリュミエール記念館、2015年12月) ★ 2001年3月。 「日本実験映画フランス・ドイツ・スイス巡回上映」のとき、 フランスだけ招待してくれ、パリとブザンソンを訪ねた。 ブザンソンを散策していた時に偶然、広場の角にある建物に、...