★2015.05.05, Oberhausen, Germany ★
Dir. Yamana's 8mm film, Kioku (2014) has been selected to be screened at the 61st
International Short Film Festival Oberhausen!
14:30 & 17:00 (International Competition)
山田勇男監督8mm映画『記憶』(2014)が、第61回オーバーハウゼン国際短編映画祭にて入選、さらに買い上げとなりました!六千本を超える応募作品から選ばれて、5月5日(14:30&17:00)にフィルム上映されます。山田監督は、同映画祭第50回目に、日本人として初めて回顧上映が行われており、その後も数回入選や買い上げになっています。デジタル時代の現在、8ミリフィルムはアートメディアとして益々貴重で、映画祭側たっての希望で映写機から映し出されることに。伴奏される藤口諒太さんの音響とともに、その場のライブ感が楽しみです。上映後、ディスカッションが行われる。
オーバーハウゼンのオンライン・アーカイブにて『記憶』をご覧になれます。
★【報告】★
映画館から足が遠ざかっている昨今、世界最古の短編映画祭が掲げたテーマは3D。
とはいえ、これを機に、シネマの可能性を巡るディスカッションが連日行われ、
デジタル主流の現在、市場からは消えゆく「フィルム」の価値を考えさせられる上映プログラムも充実していました。
日本、オーストリア、アメリカのフィルムセンターによる復元・保存のアーカイブ特集や、
デレク・ジャーマンのデジタル復元されたSuper 8作品の初公開が行われ、フィルムでしか味わえない質感を再認識。
そんな中、山田勇男監督の新作『記憶』が、映画祭側のたっての希望で、映写機から大スクリーンへ投影されたことは、意義深いことでした。
音響の藤口諒太さんのサウンドは本人のディレクションで別流しされ、
ライブ感あふれる贅沢な上映に(3Dと同じく、映画館でしか味わえない体験として!)。
<Photo: オープニングの様子>
「8ミリでこんな細部が写し取れるとは・・・」、「詩的で美しいこの感じはフィルムならでは・・・」と、
ヤマヴィカフィルムに心動かされた観客の感想を聞いて、アートメディアとして8mmの可能性をひしひしと感じるとともに、
世界にたったひとつ、唯一無二のヤマヴィカスコープ座の煌めきを実感しました。
<Photo: 試写中の山田監督と藤口諒太さん、そして麻生栄二さん(『アンモナイトのささやきを聞いた』撮影監督)>
賞はデジタルを巧く使いこなした作品群にいきましたが、だからこそ尚更、8mmフィルムとして選出され参加した価値はあったと思われます。
山田監督は賞金よりももっと偉大なトロフィー(信じられないくらい巨大な松ぼっくりとユニコーンのロゴ入りの木箱)を'偶然'拾われました!
あっ、この時、ここで、この現象。
淡いテキスチャアの瞬間を切り取るヤマヴィカ美学はデジタルではできません。
Viva Yamavicascope!
これから、ますます国境知らずに観賞されていくことが望まれているようです。
引続き行われている藤口諒太さんとのコラボレーションも楽しみです。
<Photo: オーバーハウゼンの町を8mmカメラでスケッチする山田勇男監督と音採集をする藤口諒太君。どんな作品に反映されるのか、乞うご期待>
上映後に行われた、おふたりのコンセプチャルトークと質疑応答、録音して文字おこししておきたかったくらい、面白かったです。
見えないもの、聞こえないところ、つまり、普通に見聞きしもわからないところを、実に深く鋭く(且つ、ホドヨク曖昧二)考えておられて、
お二人の思考と志向が滲み出て醸し出す雰囲気や気配が作品を創っているのだなあ、と。
<Photo: 上映後、通訳を介して熱いディスカッションに臨むお二方>
一方的なメッセージ性が強い短編映画がほとんどのなか、『記憶』は、そのタイトルの如く、ぼやけてあいまい。
よくわかること、よく見えて聞こえて、が好しとしてまかり通っている現代、
なんだかよくわからないからわかろうとする個々人の感性こそが大切なのだと、思わされます。
が、そんな感覚を言葉(外国語)で説得するのは難しい・・・。時間が許せば、美味な議論は永遠に続きそうでありました。
いずれイルバ・サロンとして、お二方の観想を文章にまとめたいと思います。
この作品は買い上げになったため、これから5年間、映画祭から配信され、アーカイブに収められます。
さらに、 新しいdigital distribution systemによって公開される準備が進められています。
オンラインで閲覧可能になりましたら、改めてお知らせします。
ともかくも、映画(白いスクリーンへ立ちあがる幻!)、特にフィルムへの情熱と愛情を新たにした7日間でした。
(2015 May 13, report by Maki with gratitude to all the members of the 61 st International Short Film Festival Oberhasen)