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    ヤマヴィカ映画史16

    October 2, 2017

     (写真:著者の影ーもうひとりの「私」、2017年9月、ルーマニア)

     

    実のところ、似ようとしたって思うように似ない。

     

    まだ若い「私」に向かって、友人の兄が云った。

    「いくら似せよう似せようとやっても、

    けっきょくのところ、とどのつまり、最後は変ちょこりんのどっちでもないものになる。

    それが個性といえば個性なのかわからないけれど、

    まァ、そんな考えたって仕方ないから、好きだと思ったらとことん好きなようにやるしかない」と。

     

    いまここで、「私」は遠いところにいるもうひとりの「私」に戻ってきたのか、

    戻ってしまったのか解らないけれど、

    渡独とランボオの再々度の逢瀬で、

    いまさらやっと「夢の棲む場所」をもらった気がする。

     

    もう「私」などどうでもいい。

    出来るだけ、ただゆっくり静かに、此の世を眺めていること。

     

    20歳過ぎたばかりの頃の夢を思い出した。

    いつもの友人のアパートへ行く道だった。

    丁度、寿し屋の暖簾の前で、一歩またいだ途端、

    その間が割れて、股が裂けそうになり、目が覚めた。

    「あッ、どちらにも行けないな」と思った。

     

    ★(続)

     

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