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    ヤマヴィカ映画史2

    July 29, 2017

     

    (写真:リヨンのリュミエール広場にて 2016年6月) 

     

    1972年9月。

    閑散とした真昼の、札幌の繁華街(飲食街ススキノ)にある

    ディスコ「ゴーゴークラブマックス」で

    寺山修司長篇第一回作品『書を捨てよ 町へ出よう』の映画上映会があって、

    胸を震わせながら見た。

    初めて、これが「映画」かも知れない、と実感した。

    いきなり始まったと思うと、観客=「私」に向かって、

    暗闇から現れた若者が青森弁で挑発的に語りかけてくる。

    この映画には、詩と幻想とエロチズムが、そして既成の映画に対する質問が、

    いっぱい詰まっていた。

    中盤あたりだったか、レインコートを着たサッカー部の主将が、

    イタリア映画音楽が聞こえる路地の暗闇のなかで語り出す。

     

    「ーーーー映画が終わってしまうと白いスクリーンだけが残る。

    白いスクリーン、白いスクリーン、白いスクリーン」

     

    すると、画面が急に真っ白になり、チカチカ震えている。

    愕然とした。

    映画とは、白いスクリーンなのだと稲垣足穂が書いていたが、

    映画のなかはいつも何かが写っているものだと思っていたのに、

    からっぽの世界。

    あッ、墓無い。

    白いスクリーンのなかに「私」が、ぽつねんと、

    ずっとこのまま置いてきぼりにされるような、

    たまらなく悲しい気持ちになり途方に暮れた。

     

    ★(続)

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