(写真:「ヤマヴィカ映画史2017」手書原稿表紙)
くり返すが、フィルム映画を初めて撮ったリュミエール兄弟のリヨンの町を訪ね、
8ミリカメラに収めたフィルムスケッチが、
カメラの故障でつまづき、
真っ暗なローヌ川畔のベンチに腰掛ける。
水面に映る対岸のイリュミナションの揺れる情景を見ながら、
ランボオの啓示を浮かべた。
リュミエールのひかり、ランボオのひかり。
片や、太陽や月といった自然のひかりと
蝋燭や燐寸、映写機や街灯といっった人工のひかりが錯乱する「映画」。
そこにランボオのひかりのような詩篇が頬寄せ、「精神」をたたせる。
異郷の、いまここの「私」の映画が、
果たしてどのようなことになるのか、まだ確信が持てない。
「謎」のままにある。
そして、この展覧会『Les Illuminations:ヤマヴィカフィルム飾書展』もまた、
終わりのない「私」のエチュードなのかも知れない。
★終わり★