ヤマヴィカ映画史27


(写真:『夢のフィールド』(1990)より 右から湊谷夢吉、山崎幹夫、正木基、著者 『巻貝の扇』撮影風景)

今年のストックホルムの個展では、公開制作のようなことはしなかった。

モチーフになっている写真集『Les Illuminations cinémathèque』の、

未だ完成していない映画について巡ると、

何となく、今までの映画について、

思いつくまま綴ってみようと思った次第である。

書き進めていくうちに、

多くの出会いと、その人たちのちからが、

どれほどそれぞれの映画に反映しているかが思い起こされる。

これらの映画には、他者のなかに鏡のように「私」を見つけたり、

私を感じたり、「私」を教えてもらったり、「私」を気づかせて呉れている。

いつも「私」は他者のなかにいるとの感慨を持つのである。

いつだったか、湊谷さんに、

いつものように大きな不安のなかでじたばたしているとき、

みつけたり、思いついたり、目の前に現れてくる答を得たような実感を話したとき、

湊谷さんは静かな口調で、

「山田くん、それは偶然でもなんでもない。山田くんがちゃんと求めているからだよ。」

と云って笑った。

そんな、湊谷さんが未だ若い無知な田舎者の「私」にとって、

どれだけ心強かったことか。

銀河画報社で映画を始めて40年、

湊谷さんが逝って29年になる。

★続


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