May 30, 2020

誰しも美しい十代には一度、アルチュール・ランボオの詩に出会うことになる、と思ったもの。

でも、初めて買った書物は、ドストイエフスキイの『罪と罰』だった。

すぐにそのあと、ハイネやバイロンの恋愛詩に少年期の私は酔いしれた。

しかし、気がつくとランボオの『地獄の季節』の頁をめくっていた。

ー そんなことを懐かしく思い出している。

ドイツ最古の町トリアから、アール・ヌーヴォの町ナンシーに引越して間もなく、

ナンシー国際映画祭短篇コペティション部門の審査員を引き受けることになった。

その映画祭の関連事業で、今年は市立ギャラリーで個展の誘いをいただいた。

先...

April 4, 2020

なつかしき 

地球はいづこ 

いまははや 

ふせど仰げどあかりもわかず (賢治) 

実は4月3日から18日迄、ストックホルムでマリア・ホルマー・ダールグレンさんと、タイポグラフィの二人展【文字の二重奏】を開催することになっていた。デザイナーのマリアさんの作品は多く商品化され、スーベニールのお店でよく見かけるし、美術館にも収蔵されている。私の文字を面白がってくれ、数年前から一緒に展覧会をしようと誘われていた。

昨年11月の開催が決まっていたが、私が9月に体調を壊し、延期させてもらっていた。半年が過ぎても、体のほうは快方に至っていない。うつむいた...

September 9, 2019

2019年8月30日〜9月8日 www. fifnl.com FB:festival.international.film.nancy

 ナンシー国際映画祭に審査員として参加。

審査対象の映画五十本以上は既に2000作品以上から選び抜かれた力作ばかり。

旧タバコ工場を改装した劇場施設(www.theatre-manufacture.fr)をメイン会場に10日間の映画祭。

(報告:ヤマヴィカスコープ座通信係)

山田監督のことば

「突然舞い降りたお話で、フランス語も英語もわからず不安でしたが、ディレクターのトニーさんの、言葉を超えたところで何を見つ...

小林俊哉【明けない夜】2/1-2/10 

取り返しのつかないことを取り返すために。

『雨の散歩』

「森のなかの散策で

ぼくは傘を広げたい

すべての木をぼくの傘の下に

・・・木が濡れないように。  ユルゲン・ボルター」            

この詩は私が福島原子力発電所の爆発事故後、初めての雨の日に思い浮かびました。

2011年3月11日この国を襲った大地震と大津波によって起った福島原子力発電所の爆発事故のその瞬間を私はテレビで観た時に「これは取り返しのつかないことになってしまった。」「日本の終わり、世界の終わり」だと思いました。その時私の全身から...

December 24, 2017

(写真:「ヤマヴィカ映画史2017」手書原稿表紙)

くり返すが、フィルム映画を初めて撮ったリュミエール兄弟のリヨンの町を訪ね、

8ミリカメラに収めたフィルムスケッチが、

カメラの故障でつまづき、

真っ暗なローヌ川畔のベンチに腰掛ける。

水面に映る対岸のイリュミナションの揺れる情景を見ながら、

ランボオの啓示を浮かべた。

リュミエールのひかり、ランボオのひかり。

片や、太陽や月といった自然のひかりと

蝋燭や燐寸、映写機や街灯といっった人工のひかりが錯乱する「映画」。

そこにランボオのひかりのような詩篇が頬寄せ、「精神」をたたせる。

異郷の、いまここの「私」...

December 16, 2017

(写真:『夢のフィールド』(1990)より 右から湊谷夢吉、山崎幹夫、正木基、著者 『巻貝の扇』撮影風景)

今年のストックホルムの個展では、公開制作のようなことはしなかった。

モチーフになっている写真集『Les Illuminations cinémathèque』の、

未だ完成していない映画について巡ると、

何となく、今までの映画について、

思いつくまま綴ってみようと思った次第である。

書き進めていくうちに、

多くの出会いと、その人たちのちからが、

どれほどそれぞれの映画に反映しているかが思い起こされる。

これらの映画には、他者のなかに鏡のように「...

December 2, 2017

(写真:コラージュ2017の部分図版)

今年になって、ぼーッとしてはおられない性分のせいか、

これまでのスクラップを眺めつつ、

古本屋で見つけた5ユーロのなんとお徳なボロボロの

1957年発行のDAS GAB’S NUR EINMAL(『ただ一度きり』)という

無声映画時代のモノクロームスチル写真がたくさん載っている本の頁をめくっていると、

急にコラージュをしたくなった。

ハサミで図版を切り抜き、思いのまま貼っていき、

なんとなくいい感じになったら次に取りかかって、

それを時々ダンボールの中から出して眺める。

何んかしっくりこない。

そこで、追加したり、...

November 17, 2017

(写真:ヤマヴィカフィルム謹製スタンプを押す筆者)

今回の展覧会は、絵葉書とポスターで構成している。

絵葉書は、昔のモノクロ写真の手彩色よりも

(メリエスの映画『月世界旅行』(1902)のひとコマひとコマの色付けしたフィルムを思い出す)、

もっと「錯乱」したイメージが欲しくて、

カラーインクで即興的に彩色をした。

そこにランボオの『イリュミナシオン』の詩句を書き入れ、未使用切手を貼った。

友人に頼んで「ヤマヴィカフィルム謹製」のオリジナルスタンプを作り、

届いてさっそく、切手の上にポンっと押したら、

二重押しのようになったり、押されない部分ができたり...

November 11, 2017

(写真:撮影風景・遠藤彰と筆者・2016年パリ)

丁度、「写真集のような映画を撮ろう」と思った頃、写真家の遠藤彰と知り合った。

彼の写真を見せてもらうと、随分と好みの写真を撮っていて嬉しくなった。

彼は、写真を撮り続けていると映像にも興味が出てきたというので、

さっそく短篇『沼』(1999)を初めて8ミリカメラで撮影してもらう。

写真を撮る眼差しの力とでもいうのか、

映像への焦点のあわせ方に力強いものを感じた。

そして、余白のバランスが心地好かった。

それから、「私」にとって初めてとなるモノクロームの、

8ミリフィルムTri-Xを取り寄せ、撮影しても...

October 24, 2017

(写真:スットックホルムでのLes Illuminations展ウィンドウに並ぶ写真集)

さて、今、不器用な「私」の頭のなかには、

映画『イリュミナシオン』のことしかない。

以前、「私」の漫画集『戯れ』(北冬書房)の刊行にあわせて、

収録作品それぞれのポスターを作り、

販売記念展をしてもらったことがある。

その前にもパリで見たポスターに習い、

大きな壁紙の裏を使い自作映画のポスター展を催した。

最近では、人魚の絵に寺山修司実験映画全作それぞれのタイトルに合わせ、

彼の短歌のフェヴァリットの句を入れたポスターを作って展覧会をしている。

そこで、映画作品...

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