ヤマヴィカ映画史25

(写真:ヤマヴィカフィルム謹製スタンプを押す筆者) 今回の展覧会は、絵葉書とポスターで構成している。 絵葉書は、昔のモノクロ写真の手彩色よりも (メリエスの映画『月世界旅行』(1902)のひとコマひとコマの色付けしたフィルムを思い出す)、 もっと「錯乱」したイメージが欲しくて、 カラーインクで即興的に彩色をした。 そこにランボオの『イリュミナシオン』の詩句を書き入れ、未使用切手を貼った。 友人に頼んで「ヤマヴィカフィルム謹製」のオリジナルスタンプを作り、 届いてさっそく、切手の上にポンっと押したら、 二重押しのようになったり、押されない部分ができたり、 試し押しではうまくいったのに、ガックリ。 そこで、思い出したことがある。 1974年の春、寺山修司から、東京都美術館での展覧会に出品するオリジナル絵葉書のために 「犬神兄弟写真商会」というスタンプのデザインを頼まれ、 できあがったものを搬入前日に押しなさいと手渡された。 その時、半分くらいしか押し切れなかった。 文字も入れ、切手も貼り、最後の仕上げという段階での失態だった。 二度とやり直しのきかないもので、そのまま出品された。 寺山さんから「山田は、本番に弱いね」といわれたことが ずっとトラウマになっている。 気が小さいといえばそれまでだが、 「本番」となるといつもドキドキ、ハラハラ、どきまぎしてしまうのが常だ。 そして今回、またヤッてしまった。 「2度あることは三度ある」と、噫呼悲し! これが人生のリアリティというものか。 もうあきらめるしかない。 否、そうやって、ここまでやってきたように思う。 生きることは悲しい、つくづく思

ヤマヴィカ映画史24

(写真:撮影風景・遠藤彰と筆者・2016年パリ) 丁度、「写真集のような映画を撮ろう」と思った頃、写真家の遠藤彰と知り合った。 彼の写真を見せてもらうと、随分と好みの写真を撮っていて嬉しくなった。 彼は、写真を撮り続けていると映像にも興味が出てきたというので、 さっそく短篇『沼』(1999)を初めて8ミリカメラで撮影してもらう。 写真を撮る眼差しの力とでもいうのか、 映像への焦点のあわせ方に力強いものを感じた。 そして、余白のバランスが心地好かった。 それから、「私」にとって初めてとなるモノクロームの、 8ミリフィルムTri-Xを取り寄せ、撮影してもらったのが『PUZZLE』(2001)である。 彼は本来、写真家であるので、映像とは別に写真もずいぶん撮っていただく。 自家現像してもらったのを私がコピーで4倍くらいに拡大して映像化し、編集した。 映像としてFIXで撮るのではなく、写真を映像的に撮ることで、 その間(あわい)の気配をねらった。 一寸違う、そのちょっとのことを確かめたかったのだ。 そこで、思い出した。 「映画」に目覚める以前、友人が、彼の兄の影響で写真を撮り、 自家現像したものを見せてもらった。 その写真はそれまで見たことのない、これが「写真」かと思わせるものだった。 彼の周りにも、幾人もの自家現像する写真を撮っている人達がいて、 その写真の自由な印象が「私」を魅惑した。 さっそく道具を揃え、現像の仕方を教えてもらい、 仕事から帰って、夜の9時くらいから部屋を真っ暗にして、 真夜中まで「写真」に耽った。 翌朝、新聞紙の上に並んだそれらの写真を見ると、なぜか友人達のとは

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